月別アーカイブ: 2013年4月

手による詩的なものの構築

 

以前、海外で建築の勉強をしようと思い いろいろ調べていた時期に、

あるイギリスの建築学校における教育システムのテーマが

『手による詩的なものの構築』 というものでした.

 

 

当時、僕にはこの言い回しがとてもツボにはまって、

何度もこのフレーズをこころの中で言ってみました.

そして今も尚、『建築』という活動をもっとも端的に言い表したことばとして

僕の中にあるように思います.

 

さらに言うと、建築に限らずとも 人の行為・しごとをが単なる作業ではなく

何かその人らしさが残っていくようなことというのは

往々にしてありうることだと思います.

 

そんな人の手の跡が何かを伝えてくるものを見ると

穏やかな心持ちになります.

REA建築工房ツアー

今まで実際の建物を見たことがなかったのですが、
REA建築工房を主宰されている武市義雄さんが設計した諸建築を見て回る機会がありました.

奈良にある正暦寺の諸施設や 江戸時代から残る蔵や門を残して住まいを挿入した作品を見せていただき、
ディティールと空間構成のおおらかなバランス感覚  庭と建築の接点のつくり方などに
大変感銘をうけたのですが、

僕が感覚的に一番ぐっときたのは

この倉庫でした.

 

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縦横の比率や軒の出寸法が心地よく、手前の空き地が距離感を生み出すことに利いていて、建物の圧迫感が抑えられています.
厚めの屋根も道路側のこの距離からだとすっきり見えて、逆に建物を覆っていることの安定感が感じられます.

 

ローコストの何気ない倉庫ですが、こういうものに感じる心地よさをひろっていきたいと思いました.

おとなりさん

新居に越してきて間もなく一ヶ月がたちます.

 

入居してすぐの頃、朝 決して小さくない鳴き声が継続的に聞こえてくるなあと思っていたら、

 

なんと、仕事部屋の窓の外 距離にして30センチほどのところ、

 

お隣さんから伸びてきた木の中に、キジバトがちょこんと座っていました!

 

都会でよく見るドバトではなく、キジバト.

木の枝で巣をつくってつがいで住んでいました.

 

至近距離での遭遇に興奮して妻を呼び、しばらく息をひそめてみていたのですが、

音をたてすぎたのか、その日を境に、2羽はこの巣に戻ってこなくなってしまいました!

 

変な奴らだと警戒されたかな..

 

またあの小さなお隣さんが戻ってきて、いいご近所づきあいができる日を夢見ています.

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大雨一過

昨日の大粒の雨から一転して

今日は、青々とした空がきれいな 爽やかな風が抜けるお天気になりました.

 

そんな気持ちのいい日に、見晴らしの良い屋根の上にのぼるという

さらに気持ちのいい感覚を味わってきました.

屋根の上

お世話になっている工務店さんに同行して、補修にうかがう住宅を見学させていただいたのです.

設計は仕事でお世話になっている服部信康さん、『はっぴいさん』と名付けられた素朴な住まいです.

 

設計士が言うところの「いい設計」をするための、力のかけ方、タイミング、クライアントとの距離、ものづくりのモチベーション等について、考えを巡らせるいいきっかけになりました.

 

いわさきちひろの黒姫山荘

先日、安曇野ちひろ美術館の脇に復元されている黒姫山荘を訪れました.

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東京での慌ただしい生活を経て黒姫に移り住んだ彼女は、

この小さな ささやかな場所で、宮沢賢治の「花の童話集」や「あかまんとうげ」などの

制作に没頭しました.

 

ここで 穏やかな心持ちで描かれた彼女の作品には

彼女が愛した息子がモデルになっているものが多くあるそうです.

 

絵に添えられた ちひろのことばが印象的でした

 

うしおのように流れ出す愛情を、どうしようもなくて

 

 

得点を狙うゴールキーパー

独立してまだ実績が少ない今は、
「お手伝い」のような形で お仕事をいただくことが よくあります.

建築設計とは単なる間取りを図面化する作業ではなく、
納まり、構造、コスト、スケジュール等を頭にイメージしながら
もののあり方、空間のバランス、素材の質感等を
経験や感覚を動員してまとめていく総合的な作業だと思いますが、

「お手伝い」のような形でいただくお仕事においては
そのような僕自身のクリエイティビティが 求められないというケースもよくあります.

フォワードが ディフェンダーやゴールキーパーとしてピッチに立っても、
得点をあげるのはなかなか難しいものがあるし、
違うポジションで試合に出ればまた違う筋肉が必要とされるので、
良いパフォーマンスができない可能性もあります.

悩ましいところですが、今は別の筋肉も鍛えて 良い結果を残していくことで
出場の機会を得ていくのがいいんじゃないかなあと思っています.

点を取って、守って、走れるという基礎体力は、建築人として武器になるかと.

どんな距離からでも どんな角度からでも 得点を狙う意識を持ちます.

一宮の家|お庭づくり前

まだお庭や物置づくりが残っていますが、

建物は先日竣工し、引き渡しをさせていただきました.

施工をしていただいた箱屋さんの写真を転載させていただきます.

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前面道路からの外観です.   家型の箱がずれながら繋がっていく形をしています.

今は仮設の階段が取り付けられていますが、ここに土を盛って小さな築山をつくる予定です.

築山に架けられたブリッジを通って、玄関に入っていきます.

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玄関は縦方向に伸びた、平面的にはとても小さな空間です.

開口を絞り  荒々しい仕上げを使うことによって、光を印象的に感じられるような設定になっています.

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玄関扉も 内装仕上げに合わせてグレーに塗装してあります.

 

 

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光をおとした玄関から最初の部屋に入ると、光の印象が大きく変わります.

ここも比較的タイトな空間で、さらに天井高が低いので「囲まれ感」が強い 落ち着いた場所です.

より光が溢れ 空間の印象までもがらっと変わるような場所が、その奥に見えています.

 

 

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階段をおりながら 、長さ約8m  天井の一番高い部分で約3mの大きな部屋にたどり着きます.

長さと高さのバランスを検討し、このボリュームに落ち着きました.

住宅のボリュームとしては特殊解かもしれませんが、開口の位置・大きさの調整と家型の勾配天井によって

おおらかに包まれている感覚が、この空間を落ち着いたものにしています.

 

人の移動を意識して シークエンスをイメージし メリハリをつくることによって、

日々の生活に少しだけ覚醒が生まれると すごく豊かになるんじゃないかという想いで、仕事をさせていただきました.

 

 

 

 

 

名古屋カテドラル/東京カテドラル

名古屋カテドラル(布池教会)に立ち寄りました.

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カテドラルというと建築好きの中では東京カテドラルが有名で、

戦後の巨匠建築家である丹下健三が設計した聖堂を見にいく人が多いですが、

適切なスケール感や 方向性をもった聖堂の構成は とても心地よく

東京カテドラルとは違った良さがあると思いました.

 

名古屋近郊の建築関係者でも、東京カテドラルは見に行ったことがあっても

名古屋カテドラルは見に行ったことがないという方が結構多いような気がしますが、

「何をもって空間性として評価するか」ということを考えるとき、

この教会で流れる時間を体感してみるのも面白いのではないかと思います.

 

 

「すべての時間が 美しい建築をつくるためにある」

学生のときに読んだ建築雑誌に、

とある設計事務所のしごとぶりを評してこう書かれていました.

 

『「すべての時間が 美しい建築をつくるためにある」という言葉がふさわしい』

 

この記事を読んで、すごく羨ましかったのを覚えています.

そんな風な状態に自分がなるのはいつなんだろう.

学生の間にそうなれるんだろうか.

働きだしたらそうなるかな.

 

そんなことを考えながら、なんとなく独立して事務所を構えた時、

自分の設計を突き詰められる時が、こんな感覚を感じられる時なんじゃないかと

ずっと思ってきました.

ところが、いざ独立してみるとそんな悠長なことを感じてる暇は全然なくて

ここ数週間、気持ちばかりが焦っていました.

 

そんな矢先、きっかけはよくわかりませんが、

電車に揺られながら ふと「あぁ、それは、気持ち次第なんだな」と思うに至りました.

 

これから、どんな状況にあっても、美しいものをつくろうという目で世界を見ることを続けていくことが

生きることを最も楽しめる 僕の方法だと思います.