月別アーカイブ: 2013年12月

これからどれだけの家づくりができるか

年の瀬になり、独立後のこの1年を振り返ってみると

設計者としてひとつの家をつくるのにどれぐらいの時間とエネルギーが必要かということがおおよそ分かり、

かつそれを持続したとして 10年後20年後にどれぐらいの量のしごとができていくかということが想像できる.

自分が何歳で死ぬかはわからないけれど、先輩の建築家たちを見ると

多い人で100件を越える住宅を 生涯に設計している.

 

これから100件の家をつくることを想像すると その数は膨大にも思えるけど、

あるまとまりをもったすまい観を表出させようとすると

その数はあまりにも少ないだろうと思う.

 

住宅設計の目標が住文化の向上であるなら、

大事なのは量ではなく質であることは間違いないだろう.

量は「欲」に属し、質は「意志」に通じる.

ただ、死ぬまでにつくることができる住宅の数は限られているので、

全体量を意識した上での質の向上というスタンスをもつようにした方がいいだろう.

 

家を建てるタイミング

「家を建てるならいつのタイミングがいいのか?」という質問を受けることがよくあります.

 

そういう時は、その人が置かれている状況を加味しながら

その人の想いにヒットする情報をできるだけフラットな形で伝えるようにしています.

 

何を「いい」とするかはケースバイケースで、

同じことでも状況が違えば、感じ方としては良くも悪くも転がりうる.

それはどんなことにも当てはまるんだろうけれど、特に家づくりは

社会、建築業界、家族関係、ものの好み、流行、情報、相性、感覚、それからお金等々複雑に絡む因子が非常に多いので

「いつがいいのか?」という質問に的確に返答するのはなかなか難しいと思う.

良し悪しがちゃんと分かる可能性があるのは家が完成した後のことだし、それもいつになるのかは分からない. はっきりとはずっと分からないかもしれない.

 

ただ、設計者は今までの経験から「今建てるとこういうメリット(デメリット)がある可能性がある」ということが言えるので、それを伝える.

でも、結局はそれを聞き流すのか それに納得するのかを決めるのも

建てた家での生活に幸福や不満を感じるのも本人であって、

僕はそういう質問を投げかけた時が、行動するときでもあるんだろうと 勝手ながら思うことがあります.

 

設計事務所での家づくりは、便利な今の時代にはなかなか無い「長いプロセス」があります.

世界で一つのフルオーダーメイドのものをつくるので、細かい部分までクライアントと一緒に決めていきますが、

それを面倒だと感じることもあると思います.

 

最初からそう感じる人は、設計事務所での家づくりは難しいですが、

丁寧な家づくりに魅力を感じる瞬間を持っている人であれば、そう思っている間に専門家に相談してみると

気持ちと状況の波がうまく同調して、新しい開かれ方をするかもしれない.

 

そういうことの参考に、すこしでもなるといいなあと思います.

 

永田昌民さん

同年代の中ではめずらしいかもしれないけれど、

住宅設計を志してからずっと、僕は永田さんの設計する家に 特に意識を向けて見てきました.

建築専門誌を賑わすような 奇抜な形ではなく、控えめで 静かで 日常的な輪郭をもった住まいをつくりつづけてきた人.

 

永田さんのコンパクトな空間感覚が 自分が持っているそれと非常に近いと感じていて、

今でもプランニングするときには自分の感覚と永田さんのプランを見比べながら

図面に定着させていくことがあります.

 

一度もお会いしたことができなかったので、人となりをよく知ってるわけじゃないけれど、

建築をずっと好きでいた人が居なくなってしまったことが

たまらなく寂しいと思う.

昔から考えてたこと

住宅相談で神戸へ
途中 安藤忠雄が若いときに設計した集合住宅に立ち寄りました.

10年前 やみくもに建築めぐりをしていた学生時代.

5年前 設計業務の苦しさを知ったスタッフ時代.

独立して、今度は設計で食べていくことのむずかしさを知りました.

いろんな時期に この場所でこの建物を見て いろんなことを考えてきました.

 

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