月別アーカイブ: 2014年3月

海外で建築を仕事にする

『海外で建築を仕事にする』(学芸出版社)を読んで、

学生の時に感じていた建築に対する楽観的なイメージ

―瑞々しく刺激的な発想の場であるという感覚―

が久しぶりに思い起こされた.

 

実務にどっぷり浸かっていると、こんな感覚がとても新鮮に感じられることがあります.

 

かく言う僕も、海外で建築を仕事にすることを考え 何度かトライしてきたけれど、

タイミングや語学力や経済状況等さまざまな障害でなかなか実現できぬまま 日常に追われている.

 

17人の著者は僕ができていないことをやっているという意味で凄いと思うし、

実務、コミュニケーション、実行力等を含めた総合的な力を養い続けてきたことに敬意を表する.

 

彼らの共通項として感じたのが

・いずれも国内外の名門学校あるいは有名設計事務所の出身である

・一般的には不可能と思われるようなキャリアを特例で認められ 実績を積んでいる

ということだ.

このことは、海外に出るリスクをある程度軽減し 前向きに道を切り開くことができるだけの

セルフコントロールの材料として大きい.

 

誰もががこういう訳にはいかないとは思うけれど、

日常の小さな一歩でも、昨日と違った新しさを見出すような気持ちが

この本を読んで育まれるかなと思いました.

 

 

 

前のめり

 

4月の新学期にむけて

非常勤講師をする学校での打合せが続きました.

 

どんな環境でどんな立ち回りが求められるかは毎回違う.

一回たりとも同じ状況は生まれない時に、想定されるリスクを並べてそつなくこなそうとすると

そこそこの成果しか出せないことがわかってきた.

 

失敗を恐れずに、前のめりになって可能性を探る姿勢をもてなければ

僕じゃなくて別の誰かがやってもおんなじだという話になってしまう.

 

見えてるものと見えてないもの

最寄駅の駅前でいつも目にするコンクリート造のマンション.

DSC_0008

共用廊下側とバルコニー側の妻壁デザインが異なっているのが気になっていて、

よく見ぬままに「きっと未熟な設計者が未検討のまま図面を描いたんだろうなあ」

と偉そうに思っていたら、

 

調べてみると
あの世界の安藤忠雄による作品でした.

よく見てみると、コンクリートの割・開口の取り方・動線計画等々なるほどよく考えられていると思う点がたくさんある.

安藤忠雄だから必ず良い訳ではないけれど、安藤建築だと知ってから見えたものがたくさんあった.

 

自分は何を見て 何を見ていないかということを 考えさせられました.

淘汰

消費税増税が間近にせまって、

同業者の間では「設計事務所の今後の生き残り」という話が話題に挙がることも多い.

 

住宅は、小さなものであったとしても新たに手に入れると消費税だけで数百万円程度かかってくる.

増税前、もっと言えば消費税導入前には建設費や設計料に使えたお金が

同じ内容の建築をしても そこに回せなくなっている.

 

その結果、美しさはともかく最低限の機能を備えている住宅メーカーの格安住宅に「安心・信頼・保証」を求めて、

オリジナルの家を時間をかけてつくる小さな工務店や設計事務所で

「暮らしの幅を広げたい」とか「楽しく暮らしたい」という想いをもてる余裕がなくなりつつある.

 

この話題になると行き着くのが、「設計事務所は淘汰されていくから、生き残りの策を考えなければならない」という結論だ.

 

この議論は「設計事務所に依頼するような人のパイは減る一方だ」という前提のもとにある.

けれど、個人的には今後の業務の幅が「決められたパイの中の椅子取りゲーム」だと思うよりは

「椅子自体が増える」あるいは「地面が盛り上がってて、椅子じゃないけどそこに座れた」みたいな

パイとか椅子そのものを疑ってかかりたいと思う.

 

僕たちは 住まいにもっと楽しみを見いだしていい.

決められた形で済ませるんじゃなくて それぞれ違った形があっていいし、

選択肢がたくさんあって そこに可能性や希望をもつべきものだと思う.

 

度重なる震災で 住宅の倒壊等から多くの被害を出すという惨状を経験してきたにもかかわらず、

「工事の安全を監理する設計者」の存在は重要視されない.

耐震も耐津波もバリアフリーも気になるけれど、一番重要なのは「工事金額」でしかないという実情.

 

実情を嘆くよりは「問題があるということは変えられうるものだ」という可能性として捉えたい.

 

 

腰を立てる

数日間 あたたかい日が続いています.

寒さで丸くなっていた背中も ぴんと伸ばして外を出歩ける気分です.

 

そういえば教育学者森信三の発案した「立腰教育」というのがあった.

腰骨をいつも立てて曲げないようにすることにより、自己の主体性の確立をはじめとした人間形成を図るこの方法は

教育の現場では至極当たり前の考え方なのかもしれないけれど、

なるほど背筋を伸ばして腰を椅子の背もたれにつけずに机に向かうと

呼吸が整い 集中力が増している気がする.

 

春に向けて 意識してみようと思います.