日別アーカイブ: 2014年3月5日

淘汰

消費税増税が間近にせまって、

同業者の間では「設計事務所の今後の生き残り」という話が話題に挙がることも多い.

 

住宅は、小さなものであったとしても新たに手に入れると消費税だけで数百万円程度かかってくる.

増税前、もっと言えば消費税導入前には建設費や設計料に使えたお金が

同じ内容の建築をしても そこに回せなくなっている.

 

その結果、美しさはともかく最低限の機能を備えている住宅メーカーの格安住宅に「安心・信頼・保証」を求めて、

オリジナルの家を時間をかけてつくる小さな工務店や設計事務所で

「暮らしの幅を広げたい」とか「楽しく暮らしたい」という想いをもてる余裕がなくなりつつある.

 

この話題になると行き着くのが、「設計事務所は淘汰されていくから、生き残りの策を考えなければならない」という結論だ.

 

この議論は「設計事務所に依頼するような人のパイは減る一方だ」という前提のもとにある.

けれど、個人的には今後の業務の幅が「決められたパイの中の椅子取りゲーム」だと思うよりは

「椅子自体が増える」あるいは「地面が盛り上がってて、椅子じゃないけどそこに座れた」みたいな

パイとか椅子そのものを疑ってかかりたいと思う.

 

僕たちは 住まいにもっと楽しみを見いだしていい.

決められた形で済ませるんじゃなくて それぞれ違った形があっていいし、

選択肢がたくさんあって そこに可能性や希望をもつべきものだと思う.

 

度重なる震災で 住宅の倒壊等から多くの被害を出すという惨状を経験してきたにもかかわらず、

「工事の安全を監理する設計者」の存在は重要視されない.

耐震も耐津波もバリアフリーも気になるけれど、一番重要なのは「工事金額」でしかないという実情.

 

実情を嘆くよりは「問題があるということは変えられうるものだ」という可能性として捉えたい.