日別アーカイブ: 2017年7月28日

自分の子どもをこの建築で遊ばせたいか

昨日は非常勤講師を務めている金城学院大学の講義最終日でした.

今までいろいろな学校で設計課題の講師をやってきましたが、
今回初めて一人で講義を受け持った(設計の授業は複数人で担当する場合が多い)ため、
シラバスの提出、カリキュラムや授業構成の検討、設計課題や授業資料の作成など
講義に関わる全てのことをさせていただきました.

特に設計課題の作成は学生のやる気や作品の完成度に大きく影響するため、
講義を通して学生に何を獲得してほしいかということをよく考える必要があります.

 

大学専任の先生と相談をして今回新しいチャレンジをした点は

・建物を設計する敷地を学生自らが選定する
(一般的には決まった敷地が設定されていて、全ての学生が同じ条件のもとで設計します)

・建物の用途を学生自らが選定する
(一般的には「住宅」や「店舗」など、建物の用途が条件として提示されています)

・個人制作とグループ制作のどちらかを学生自らが選定する
(一般的には個人制作が多いです)

さらに、学生が今までの授業で課されてこなかった1/50の模型(家具や仕上材まで作り込む)や
3Dのプレゼン表現なども取り入れてもらいました.

学生が自ら判断してものごとを決めていく範囲が広いため 最初は戸惑いがあったかと思いますが、
きっかけを掴むと多くの学生が積極的に取り組むことができたように思います.

 

建築には正解がありません.
設計のプロセスや技術についても「こうやれば良い」と言い切れるものはありません.
(よく学生に「これで良いですか?」と聞かれますが)

ですので、学生からの質問に対して曖昧な回答になったり、ヒントを与えて後は自分で考えてもらうといった指導をする場合があります.
まずは、建築設計という分野が 一生かけても答えが出ないかもしれないような不確実さを持っているという事実を理解してもらうということが
建築を学ぶにあたって大切なことだと感じています.

それにしても学生たちは総じて優秀で真面目だと感じました.
粘り強くこつこつと模型や図面に向き合うことができていて、至らない講師にも関わらず成果が多く見られました.

『子どものための施設』という課題テーマに対して真剣に考えたこの経験が、
将来彼女たちが子を持つ身になったときに、自分の考えを構築する何らかのきっかけになれば嬉しいと思います.
「自分の子どもをこの建築で遊ばせたいか」というリアリティが、今回の提案とは違った想いを生むかもしれません.

 

今回の講義は3年生対象で、
今後は後期の授業を経て卒業制作、就職活動と より広い社会での自身の位置付けを模索していきます.