仕事がすすむとき

建築設計の検討(スタディと言います)には、膨大な時間を費やします.

あれこれと試行錯誤を繰り返し、ようやく固まってきても調整を重ね、
他によい案が出ればまたゼロからやり直し.
クライアントの要望やコストオーバー等の予期せぬ事態も絡んできます.

 

積み上げては崩してまた積み上げる 果ての無いような作業の中で、
積み上げるピースの形や状況が何となく分かってくる.

すると、「ここにこれを積むと次にこれが積める」とか
「これをあそこまで積むとこんな形になる」とか、先が読めるようになる.

感覚をつかみ始めると、短時間でいろいろなバリエーションが展開できるようになる.
さらにそれらのいい悪いの判断もすばやく出来るようになる.

何度もこの作業を繰り返す.
次第にその場所にあるべき建築の姿が見えてくる.

設計は積み上げる作業だけれども、
最終的にはそこに自然な佇まいで存在できるものを明らかにしていく感覚がある.
そう考えると、木や石の中に姿形を見い出し 彫り起こしていく彫刻家の作業に近いものがある.

 

スタディに終わりは無いですが、「これでいい」と心に落ちるまでは続けるようにしています.
もう少し続けたらもっと良いものになったかもしれないし、全然違うものでも成り立ちうるかもしれないけれど、
「これでいい」と思えたらある一つの正解に達したのではないかと思います.

経験を重ねて「これでいい」の感覚とそれに対応した建築や空間の精度を上げていきたいと思います.
そして、こんな生産性の無い仕事を理解し(ようとし)てくれる家族への感謝を心に留めていたいと思います.